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小さい生き方 33

 2018-07-27
読書オタクの私は「栞」に、こだわっている。と言って
も、デザインとか素材とかにこだわっているわけではなく
て、コンサートや美術館に行ったときのチケットを栞とし
て使っている。想い出に浸れるからだ。チケットには日付
けなどの情報がきちんと書いてあって、その頃のことを振
り返るのに都合がいい。普段は時間が経つのが早い気がす
るけど、チケットの日付を見ると、あれからまだ一年しか
経っていないんだ、などと思ってしまう。そんなときに考
えるのは、◯年前に比べて自分は成長したかな、というこ
とだ。大きく成長したとは思えないが、少しはマシになっ
たような気もする。私にとっての成長は、心の成長と行動
の変化だ。心の成長はとても時間がかかるけれど、行動は
1日で変えることができると。そして、行動を変えること
で、心も少しづつではあるけど、成長することが可能だと
思っている。だけど、心が変わる速度は、行動の変化に比
べて、とても遅いし、実感がない。永遠に変わらないよう
に思えてくる。だから、期待はしないで、普段は忘れてお
く方がいい。 時々、思い出して、数年前の自分と今の自分
を比べるくらいが丁度いいだろう。実際、ふだんの行動で
さえ、私の場合、小さなことしか変えられない。たとえば
最近、変えたことといえば、朝食の野菜の量を増やしたこ
と。おかげで、お通じの調子がとても良好になった。レタ
スと胡瓜に感謝だ。これから変えようと思っていることは
「ありがとう」に、ひと言付け加えること。会話でもメー
ルでも、手紙でもメモでも。案外こんな小さなことが、ぜ
んぜん出来ていなかった。例えば「いつもありがとう」と
するだけでも、相手に与える印象が違う。ありがとうのお
礼をする前に、ちょっと間を置いて、どんな言葉を付ける
かを考えることで、言葉のセンスが磨かれるのではない
か。何に対してなのかという感謝の対象を表出させれば、
自分の心にとても響くようにも思える。
心を成長させる行動とは、どんな行動だろう。ひと言でい
えば「誰かに喜ばれること」だ。それは、直接的でも間接
的でもいい。誰かを悲しませないとか、不快な気持ちにさ
せないというような、静かな行動でもいい。大きなことは
出来なくても、毎日意識して、行動に移していくことが、
心を成長させることになると思う。
話は変わるが、現在、成人の4割が、年間に一冊も本を読
まないという。ただ、紙媒体の読書率は落ちているが、電
子書籍の読書率は伸びている。一方で、老眼の進行が
年々、低年齢化しているらしい。電子書籍はとても便利だ
が、大切な目を痛めているのかもしれない。ひとつの試み
として、素敵な「栞」とオシャレなブックカバーなんかを
プレゼントするように心がければ、紙媒体の本の読書率が
向上するかも、そして、それが老眼進行を遅らせること
に、一役買うことになるかもしれない。その意味で冒頭に
話した、チケットの有効活用も紙媒体を応援することにな
るだろう。チケットが無いという方は、ぜひ、美術館に足
を運んで「スマホ時間」を減らしてほしい。大切な目のた
めに。ただ、暇さえあればiPadを開いている私は、どんど
ん老眼が進んでいる。

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小さい生き方 32

 2018-07-20
「ポゴレリチ」というピアニストのCDを買った。いつも
の私の癖で、突発的に興奮して、購入行動に移ってしまっ
た。今回の興奮の理由は、彼の有名なエピソードだ。その
エピソードとは、彼は第10回ショパンピアノ国際コンクー
ルの本選に落選したのであるが、その審査員の中に、現
在、世界で最も高い評価を受けているピアニストのひと
り、マルタ・アルゲリッチがいた。アルゲリッチはその審
査で、ポゴレリチの落選審査を不服として「彼こそ天才
よ」と言い放ち、審査員を辞退したのである。しかし、こ
れが「ポゴレリチ事件」として話題を呼び、彼は一躍スタ
ーダムに駆け上がったのだ。彼は少年時代から変わった奏
法をしていて、前述のショパンコンクールでも通常とは異
なる奇抜な演奏だったようだ。しかし、考えてみると、私
は音楽はど素人だが、世界最高峰のショパンコンクールに
出場して、ふつう、奇抜なことなどするであろうか。もし
かしたら「目立とう」という狙いもあったのかもしれない
が、そうだとしても、相当な度胸がいるだろう。誰もが考
えるのは、審査員全員の意図を予想したうえで、模範的に
高得点を狙いながら、自分の個性をアピールしていくとい
う方法だと思うのだが。
自分らしい生き方というのは「ポゴレリチ」のような生き
方だろうか。彼には、批判的な声も多かっただろうし、ご
く一部の人達にしか支持されていなかったのかもしれな
い。だが、個人にとっての成功は、必ずしも世間から多く
の支持を得ることではないと思う。かと言って、ひとりよ
がりで好きなことをして、勝手気ままに生きるのも成功と
は思えない。もし、それが、自分らしい生き方だと考える
のなら、それは、人間としての成長が、少し不足している
のではないか。「自分探し」という言葉があるが、これ
は、ただ「やりたいこと」を探すのではなくて、誰かのた
めに役立ったうえで、自分が情熱を込めてやれることを探
すことだと思う。
男性は、持って生まれた明確な役割というものが、神から
与えられていないとも言える。それは自分で考えろという
ことだろう。ポゴレリチは、どのような意志をもって奇抜
な奏法をしているのかは分からない。本人は奇抜だとは考
えていないのかもしれない。ただ、彼は少年時代からのや
り方をやり続けている。アルゲリッチの一件がなかった
ら、奏法を変えていたかもしれない。いや、おそらく変え
ていないだろうと思えてきた。なぜなら、アルゲリッチに
聴いてもらえるというステージまで辿り着いたという事実
は、彼の奏法が世の中に受け入れられているということに
ほかならないからだ。彼に対する最近の評価をググってみ
ると、ステージマナーの悪さや演奏の特異さが、つねに取
り上げられている。しかし、それでも多くのファンを魅了
していることは間違いない。 マナーの悪さを見習おうとは
思わないが、自分が生きて行く分野(仕事)で、常識破り
なことをしようとするポゴレリチの生き方は好きだ。
まあ、理屈はともかく、CDを聴いてみよう。ああ、何で
も理屈から入ろうとするこの癖をなんとかしたい・・・

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小さい生き方 31

 2018-07-13
私の「一緒に食事したい女性ランキング」ベストスリー
は、NHK短歌に出演しているタレントの「カン・ハンナ」
さん、NHK俳句の司会を務める女優の「戸田菜穂」さん、
それから、みじかな人で「Aさん」だ。実現することはあ
り得ないが、カンさんと戸田さんを選んだのは、番組をい
つも観ていて、感性がとても魅力的だからだ。Aさんは、
とても「感がいい」人だ。直感力というか想像力というか
適応力というべきか、心を察知する能力が優れている。ま
るで霊感とも思える能力が、普通の人よりも強いのではな
いかと思うのだ。そんなAさんと、一度ゆっくり、食事し
ながら話したい。そして、その素晴らしい能力を存分に感
じると同時に、なぜ、そのような能力が備わっているのか
学び取りたいと思っている。
ちなみに男性と女性では、食事に対しての取り組み方や本
能的なものが、ずいぶん違うのではないか。極端なことを
言えば、男性は肉体的なのに対して、女性は精神的だ。だ
から、女性は食事の雰囲気の快、不快に対して、デリケー
トな反応になる。対して男性は、お腹と舌の満足以外のこ
とはあまり気にしない。これについて男性の視点で考えて
みると、男性同士で食事をする場合は、雰囲気はあまり気
にしなくていい。だが、女性との食事となると、そうはい
かない。もちろん、そんなことは誰でも分かっていて、お
店を選んだり、服装に気を使ったりしている。しかし、そ
れら以上に雰囲気を左右するのが、行動と会話だ。お店で
の行動は、マナーや店員さんに対する態度、オーダー、会
計のすべてが雰囲気の良し悪しに影響する。だから、男性
は女性を楽しませる雰囲気を演出しようと思うのであれ
ば、普段から、いつも同じ店に行くのではなくて、なるべ
く色んなジャンル、様々なスタイルの店に行くようにし
て、慣れておけばいいと思う。そして、会話は、たくさん
喋ればいいということではない。個人差はあるだろうが、
なるべく女性に喋ってもらった方がいいと思う。そのため
には、女性がたくさん話してくれそうな話題に誘導するこ
とだ。それに、あまり上手に喋りすぎると、相手が喋りに
くくなるということもある。男性は少ない喋りの中に、深
みがあれば好ましい。深みとは、物知りだとか、知識があ
るということではなくて、生きる知恵や生き方のセンスの
ようなものだ。
それから、何よりも大事なのが、心構えだ。男性はたと
え、相手にご馳走するにしても感謝の気持ちを持った方が
いい。相手は大切な時間を、自分に与えてくれたのだか
ら。女性は外出するのに化粧など、手間も時間もコストも
かかる。一回の食事で犠牲になるものは、男性よりもかな
り多いはず。だから、男性はお礼の意味を込めて、高価な
物でなくていいから、ちょっとしたプレゼントを用意して
おけば、気持ちが伝わって雰囲気が良くなるだろう。
話は変わるが、現在、男性の生涯未婚率は、20%を超えて
いるという。5人に1人が一度も結婚しない、もしくは、
出来ないという時代だ。その原因として、男性が女性と関
わることが少なくなっているのだとしたら、人生がとて
も、もったいない気がする。男性は男性同士でいる方が、
楽かもしれない。女性と関わるのは気を使うし、さらに、
結婚となると社会的責任まで背負うことになる。だけど、
それに見合うだけの、大きな喜びと心の成長が期待できる
のではないだろうか。

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小さい生き方 30

 2018-07-06
お世話になっている社長さんのお誘いで、淡路島に日帰り
観光に行って来た。私のベストワンスポットは伊奘諾神宮
にある「夫婦大楠」だった。樹齢900年以上といわれる、
その大楠は、根元は1本だが、途中から幹が二本に分かれ
ている。不思議なことに、元々は二本だった木が、いつし
か繋がったのだという。まさに「夫婦」と呼ぶにふさわし
い。夫婦大楠の二本の幹を見比べてみると、片方が真っ直
ぐ悠々と大きく伸びているのに対して、片方は一方の邪魔
にならないように、折れ曲がって伸びている。その曲がっ
た方の幹は、相手を根元で支えながら、相手が大きく伸び
るのを助けているように映る。まるで夫婦のあり方のお手
本のようだ。だが、折れ曲がって伸びている幹の方は、夫
だろうか、それとも妻だろうか。私は、夫だと思う。そも
そも、人間というものは、女が主役で、男は脇役だと思う
のだ。そして、私の勝手な想像だが、女は、人生を楽しく
するために、男という生き物をつくったのではないか。そ
う考えれば、男は女を楽しませるために存在することにな
る。だから夫が、この原則(私流の)に従って自分の生き
方を考えて行動すれば、夫婦関係が充実したものになっ
て、夫自身も幸せになると思っている。しかし、言葉にす
るのは簡単だが行うのは容易ではない。なぜなら、男と女
の「楽しみ」は、一致しないことが多いからだ。だからと
いって、夫が自分の楽しみを全て犠牲にしたら長続きしな
いし、妻も心苦しくなる。夫は夫婦大楠の片方の幹のよう
に、折れ曲がりながらも上手に伸びて行くことは、できる
のだろうか。
恥ずかしい話だが、私、40歳ごろまでは、まず自分が満ち
足りた上で妻の満足を考えればいい、という考え方だっ
た。けれど、ある日、妻の何気なく言ったひと言が、考え
方を変えるきっかけになった。妻はその時「わたし、いま
幸せ」と言った。その言葉を聞いて何故か、頭をカナヅチ
で殴られたかのような衝撃を受けた、と同時に、鳥肌が立
つくらい心が気持ちよかった。その時に初めて気がつい
た。考え方が逆だったと。そうして、根本的な考え方が変
わってくると、日常の一つ一つのことに、気づきと課題が
生まれる。例えば、妻はなぜ、その日あったことを喋りた
いのだろう? という疑問を抱けば、そのことについて知識
を得ようとするし、どう対応すれば良いかを考えるように
なる。以前なら理解不能なまま、理由も考えず、ただ、イ
ライラしていた。そして、さらに進むと、それを自分も楽
しむべく、工夫するようになる。また、妻が喜ぶことを考
えるのは、自分には存在しない嗜好や価値観を研究するこ
とになって、面白いし、その知恵が外で役に立つこともあ
る。
ちなみに「夫婦大楠」を観に来ていたのは、熟年夫婦が多
かった。有名なパワースポットでもあるこの「大楠」は、
安産、子宝、夫婦円満の御利益があるらしい。熟年夫婦の
夫は「曲がった方の幹」を見て、自分に置き換えることが
出来たら、熟年離婚を回避するという御利益を得られるか
もしれない。
私の法則でいくと、妻を楽しませることが出来ない夫は、
人生の後半、お払い箱になる確率が高い。

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小さい生き方 29

 2018-07-05
今朝、テレビをつけていたら、可愛らしい外国人の女の子
の涙顔が目に飛び込んで来た。中学生くらいのその女の子
は、泣きながら、60代ぐらいの日本人女性に抱きついた。
その日本人女性は、その女の子の学費をずっと支援してい
たのだという。そして、二人は初めて対面したのだ。女の
子は感極まって大泣きしていたが、日本人女性は、ただ、
やさしく抱きしめるだけで、落ち着いている。さも「普通
のことだよ、当たり前でしょ」とでも言わんばかりだ。私
は「ああ、この人こそ真の高貴な人だ」と思った。その日
本人女性のルックスは、とても質素で、お金がかかってい
るようには見えない。けれど、話し方とか佇まいに、とて
も気品を感じる。一説にいう木鶏(もっけい)とは、こう
いう人のことだろう。
しかし、こんな素晴らしい場面を観たら、いいスーツを着
たい、とか、豪邸に住みたい、などと考えることが、とて
つもなく馬鹿らしく思えてくる。

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