小さい生き方 26

 2018-06-15
広島県立美術館に行って来た。併設されているイタリア
ンレストランがとても素晴らしかった。美術館の素敵な
中庭を眺めながら食事が出来る。ちょうど紫陽花が満開
で美しかった。さて、今回の目的は食事ではなく「パリ
ジェンヌ展」だ。その題目のとおり、パリジェンヌを描
いた絵画を中心に展示されている。パリジェンヌと言え
ば、思い描くイメージは、チューリップを逆さにしたよ
うなスカートを穿いた美しい貴婦人ではないだろうか。
作品もそういうものが多かったが、中に「アイロンをか
ける若い女性」という作品があった。この作品は、貴婦
人ではなく、エプロン姿で袖をめくり上げた召使いが、
アイロンをかけている様を描いている。ただ、彼女の目
線は非常に官能的だ。アイロンがけをしながら男性を誘
惑しているようにも想像できる。そして、よく見るとア
イロンをかけている布に、今にも火が燃え移りそうな光
景が、端の方に小さく描かれている。彼女はその魅力的
な眼差しで誘惑しておきながらも「私に手を出せば火事
になるわよ」と暗に言っているようだ。しかし、男性で
あれば、この絵を観れば間違いなく、御主人とメイドの
アバンチュールを妄想するだろう。そう思うのは私だけ
かも知れないが。
さて、私、美術館には、NHKのテレビ番組「日曜美術
館」で紹介された展覧会の中から、狙いを定めて出掛け
て行く。日曜美術館で少しだけ知識がインプットされて
いることが、当日の楽しさを倍増させる。美術館併設の
レストランで食事するのも楽しみの一つだ。それから、
時々ミュージアムショップでお土産を買う。渡した相手
が、美術館の包装紙に気付いてくれて、展覧会のことが
話題になるかもしれない。密かにそんな淡い期待も抱い
ている。ミュージアムショップでは、必ずポストカード
も1、2枚買っておく。たいがい展示作品のポストカー
ドがあるので、気に入った作品を選ぶ。何年か経って、
そのポストカードを誰かに送る時、展覧会のことを想い
出すことができる。送る相手のイメージや季節よってカ
ードを選ぶのも楽しい。
美術館に行くことで「美的センス」と「心」が磨かれる
のではないかと考えている。美的センスと言っても、デ
ザイナーのような高度なことではなくて、ただ単に、美
しい物、素敵な物を「見よう」「感じよう」とする意識
が高まることを期待している。例えば、食事に出掛けた
ときに、器や盛付けの美しさに気付いたり、店舗の外観
や内装の素晴らしさを感じるというようなことだ。そう
いう習慣がつくことで「美しい」と感じた心が自然に言
葉になる。そうして発した言葉は、お世辞ではなく、本
心から感じた言葉だから相手も本心から喜んでくれる。
「素敵ですね」「ありがとう」
そういう会話から明るい関係をつくって行きたい。
美しいものに対する感度が高まれば、人を喜ばせ、自分
も楽しみながら、自己の周りの小さな世界を明るくする
ことができるかも知れない。だから、その感度を高める
ために美術館に出掛けることは、最終的に「心」が磨か
れることになると思っている。

スポンサーサイト
カテゴリ :小さい生き方 トラックバック(-) コメント(-)
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫